小児用肺炎球菌ワクチンと子宮頸癌ワクチンについて
小児用肺炎球菌ワクチンが平成22年2月から、子宮頸癌ワクチンが平成21年12月から日本でも接種できるようになりました。今回はこの二つの新しいワクチンについてお話いたします。

小児用肺炎球菌ワクチン(商品名プレベナー)について
肺炎球菌感染症とは
子どもでは肺炎球菌は細菌性髄膜炎の原因菌として知られています。
細菌性髄膜炎の原因菌はHib(インフルエンザ桿菌)が約5割と最も多くを占めますが、肺炎球菌によるものも約3割ほどあり、この2つの菌でほとんどを占めます。また菌血症という重度の肺炎や繰り返す中耳炎の原因の一部は肺炎球菌とされています。
大人用とどう違うの
小児用の肺炎球菌ワクチンはこれは従来から接種できていた成人用とは異なり、子ども特有の肺炎球菌の型を含み、また小児でも効果がでるように製造方法を変えたものであり成人用ワクチンとは全く異なるものです。
ワクチンの効果は
小児用肺炎球菌ワクチンはこの細菌性髄膜炎を予防するだけではなく、重症の肺炎や中耳炎を防ぐ効果もあるとされており、先行して導入されているアメリカではこの菌による感染症が激減したとされています。
スケジュールは
2カ月から10歳未満まで接種は可能です。
ただし年齢によって接種回数が異なります
●生後2カ月から7カ月までに接種を開始した場合
4週間隔で3回接種した後、約1年後に再度もう1回(合計4回)接種します。
●生後7カ月から12カ月未満で接種を開始した場合
4週間隔で2回接種した後、約1年後に再度もう1回(合計3回)接種します。
●1歳をすぎて2歳までに接種を開始した場合
60日以上の間隔をあけて2回接種します。
●2歳をすぎて10歳未満までに接種をする場合
1回のみ接種します。
副反応は
接種部位の腫れや接種当日の感冒症状(咳、鼻汁、微熱など)が報告されていますが、自然軽快する場合がほとんどで他の予防接種に比べ強いものではありません。
同時接種は
三種混合ワクチンやHibワクチンとスケジュールが似通っているため、同時接種が可能です。2種類または
3種類の同時接種が可能ですが、ワクチンは混ぜることができないため、同時に2カ所あるいは3カ所の接種
となります。同時接種したからといって副反応が強くでることはありません。
Hibと肺炎球菌どちらを優先させるの
できるかぎり、両方を接種いただくのが理想ですが、発生頻度として、1歳までの髄膜炎予防にはHibの方が効果が高く、幼児期の集団生活における感染予防としては肺炎球菌ワクチンの効果が高いようです。どちらを優先するかは接種する年齢によって異なります。

子宮頸癌ワクチン(商品名サーバリックス)について
子宮頸癌は年間15000人もの女性が発症しているとされていますがパピローマウイルスによる感染が原因とされておりこのウイルスの感染を防ぎ癌化を予防するためのワクチンが接種できるようになりました。
何歳から接種可能なの
10歳以上で接種が可能で、標準的には26歳までに接種していただきたいワクチンです。接種年齢が高い場合は効果が低くなります。
絶対に防げるの
接種年齢が低い場合、効果は高いとされていますが、子宮頸癌をすべて防げるわけではないので、ガン検診は必ず受けるようにしてください。 

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