吐き下し(この頃の話題を含め)
毎年十一月から十二月にかけて吐き下し(ウイルス性腸炎)が流行します。今回は最近の話題も含め吐き下しについてお話します。

吐き下しにはどんな原因があるの?
ノロウイルス
近頃聞くことが多くなった吐き下しの原因ウイルスの一つです。ノロウイルスは以前は小型球形ウイルスなどと呼ばれていたものが名称が変わったもので、新種のウイルスではありません。集団発生することも多く食中毒の原因としても近年多数の報道がありました。しかし検査は基本的にはなく(特殊な検査は便や吐物から可能ですが、日数がかかるうえ検査費用が高く保険も使えないため特殊な事情がないかぎりは行いません)症状からノロウイルスであろうとしかいえません。通常、症状は初期に嘔吐が強いものの長続きせず数日以内に軽快し下痢は強くはありません。次に述べるロタウイルスに比べ症状は軽いことが多いようです。
ロタウイルス
ロタウイルスは以前から冬に流行する吐き下しの原因として有名です。ロタウイルスの場合、嘔吐から始まり下痢が出現してきます。下痢は泥様から水様で白っぽく、パステル状となり、回数はひどくなると二十回以上となることもあります。期間も長く、場合によっては回復まで2週間以上かかる場合もあり、ウイルス性胃腸炎(おなかの風邪)では最も気をつけなければいけません。便で検査が可能であり、十分程度で結果がわかります。結果によって特別な治療があるわけではないのですが経過の予想ができるので症状が長引く場合は便を持参して調べてもらうようにしましょう。
アデノウイルス
アデノウイルスも以前から吐き下しの原因として有名ですが、症状や経過はロタウイルスの軽いものといっていいでしょう。このウイルスも便から検査が可能です。

吐き下しはどのようにはじまりますか?
嘔吐は突然はじまります、下痢から始まる場合もありますが、ほとんどの場合、数時間前まで通常どうり食べれていたのに、突然吐きはじめ顔色が悪くなり周囲を驚かせます。熱がある場合もありますが、ほとんどは平熱です。 嘔吐は数時間(2-3時間)持続することが多く、その後下痢が始まると吐くことは少なくなっていきます、下痢は原因ウイルスにもよりますが数週間続くこともあります。

治療は?
特効薬はなく自然に治ることを待ちます。その間の水分摂取が重要で、吐気が強い場合は無理に水分を与えようとせず、吐気が収まるまで待ちます。2-3時間吐気がなくなれば少量ずつ(50ml程度)何回かにわけて水分を与えて下さい、与えるものはスポーツ飲料やお茶がよく、食欲があっても固形物や甘いものは症状が強くなるため与えないほうがいいでしょう。 水分が長時間(6時間程度)とれていなかったり、ぐったりしている場合は注射から水分を補充します、脱水の程度が強い場合は入院が必要です。

お薬は?
吐き気止めの座薬や整腸剤を処方しますが、あくまで補助的なものです。

下痢止めは使わないの?
お尻もただれてきますし下痢を止めて欲しいとよくいわれます。しかし下痢を止めてしまうとウイルスがお腹から出ていかなくなるためかえって病気が長引くとされています。基本的には使用しません。

お風呂は?
長時間入浴すると気分が悪くなったりしますが、ぐったりしている時、熱が高い時以外はお尻だけでも洗うようにしてあげてください。

予防は?
吐き下しは便に排出されたウイルスによって移ります、家族(お父さん、お母さんにも)に感染することも多いので手洗いをきっちりおこないましょう。またトイレのノブや取っ手などを消毒することも予防効果が高いとされています。

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